ワックスはスキーの滑走性の向上と、滑走面の保護のために使用する。 固形のもの(アイロンで溶かして塗りこむ)、液体のもの(スプレータイプとリキッドタイプ)、パウダータイプのものがある。 固形のハイドロカーボン(パラフィン)、フッ素などでできたワックスは、専用のアイロンで溶かしてスキーの滑走面に垂らしてからアイロンを動かしてまんべんなく塗りこむ。冷えて固まった後、プラスチックの厚い定規のようなスクレーパーで余剰分を削り落とす。この一連の作業をホットワックスという。滑走面に浸み込んだ汚れがワックスで浮き出るクリーニング効果もある。雪温に応じてフッ素の配合率が違う複数のタイプを使い分ける。春先など雪温が高くなるほど水分が多くなるので高雪温用はフッ素配合率が高い。 スプレー式のワックスはホットワックスに比べて手軽だが持続性に欠ける。スプレーした後、コルクや専用のブラシで滑走面を磨くようにして塗りこむと良い。 パウダー式のワックスは主にスタートワックスとも言われ、アルペンレースなどのスタート直前に滑走面にふり、スプレー式と同様にコルクで磨いて塗りこむ。持続性はなく、スタート直後、最初の1?2ターンしか持たない。フッ素100%配合であるため通常のワックスよりも非常に高価である。固形タイプやリキッドタイプのものもある。 コンマ1秒を競う競技スキーはその日の雪の状況や雪温を調べ、それに最も適したワックスをぬる。
初心者などの間では「ワックスを塗るとスピードが出て危険だ」という誤解が生じがちだが、スキーが滑るということとコントロールできずに暴走するということは根本的に違うものであり、技術の向上、滑走面の保護の面からも技術レベルにかかわらずワクシングは必要である。
服装
また、スキーヤーは、以下のような服やアクセサリーを身につけるのが一般的である。
スキーウェア
防寒具としてはもとより、一般のスキーヤーの間ではファッションとしての要素も併せ持つ。かつては蛍光色や原色などの、雪の白に対して映える色使いが主だったが、近頃はスノーボーダーの影響からか、ストリート系、ルーズファッションと呼ばれる街着に近い型が流行している。
競技用ウェアでは少しでも空気抵抗を減らせるよう体に密着したデザインとなっている。また、選手のスポンサー企業のロゴなどがあしらわれることもある。
いずれも転倒時に硬い雪面等から身を守れるよう、堅牢な作りとなっている。
ゴーグルまたはサングラス
速度が出るごとに威力が増す降雪や気流、雪面から照り返す強い太陽光から目を守るために装着する。吹雪などで前方の視界が確保できないことは危険であるし、また強い太陽光は目を傷める可能性がある。
ゴーグルの中にはレンズが着色されていてサングラスの機能を兼ねるものも多くある。安価なゴーグルやサングラスの中には、色つきでも紫外線を遮断しないものがあり、かえって目を傷める(可視光が遮られて瞳孔は拡大するが紫外線量は変化しない)ため注意を要する。
スキーグローブ
低温下でも指先の感覚を失わないよう、分厚い作りになっている。手のひら側には革や樹脂などの滑り止めが施され、ストックを安定して掴むことができるよう工夫されている。
帽子またはヘルメット
競技では、ときに時速100kmにも達する速度で滑走するため、転倒時などに頭を守るためのヘルメットを着用する。髪の空気抵抗を抑える役割も持つ。
一般のスキーヤーでは無帽の者も珍しくないが、転倒したところへ他のスキーヤーが衝突し、エッジで頭を切られることもあるため、なるべく帽子を被ることが望ましい。
プロテクター
主に競技用。転倒時の硬い雪面や、ターンする際のポールから体を守るために装着する。脛当て、臀部、大腿部、下半身全体を防護するもの、全身を防護する鎧のようなものまで様々。ウェアの下に装着し、外見ではプロテクターが目立たないタイプも普及している。
一般向けには初心者や小児の怪我防止に簡易な膝当てなどが使用されることがある。
滑走技術
直滑降
板を平行に保ち、ターンをせずに斜面をフォールライン方向にまっすぐ降りていく技術。 アルペンスキーに限定されない全てのスキーの基本技術であり、緩斜面においては初心者も学ぶ技術ではあるが、 エッジを足場とすることがないため、斜度がきつくなりスピードが高速になるにつれ、 直滑降を維持して滑走するのは高度な技術となる。 高速系種目では両スキーの外エッジを足場として安定した直滑降を行っている。
斜滑降
板を平行に保ち、斜面のフォールラインに対して板を斜めにおいてエッジを立てた状態でフォールラインに対して斜め方向にまっすぐ滑走する技術。
横滑り
板を平行に保ち、斜面のフォールラインに対して板を直角ないし斜めに置いて、脚を谷側に傾けることでエッジを緩めて板に対して横に滑走する技術。方向は、フォールライン方向でも斜め方向でも、意図した方向であればよい。
プルークボーゲン
両方の板の先端を近づけて後端を遠ざけてハの字のように置き、エッジを立てて制動を掛けながら交互にスキーを踏んで滑る技術。ハの字(プルーク)を作ることにより次のターンの迎え角ができているため、スキーを交互に踏むだけでターンができる。安全のために初心者が最初に学ぶ技術のひとつであり、状況に応じて全てのスキーヤーが用いる基本技術でもある。
プルークターン
プルークボーゲンが発展してスピードの次元が速まり、かつ外スキーをずらす方向が横方向から縦方向へ変わることにより、内スキーのインエッジが緩み、外スキーに同調してくる。これがプルークターンである。さらにスタンスもハの字(「プルーク」)から平行(「パラレル」)へ変わっていくとターンもパラレルターンへと変わる。
シュテムターン
パラレルターン
板を平行にしたままターンする技術。スキーを揃えて谷スキーを踏み、山スキーへ踏みかえる。踏みかえは、両足を交互に動かす交互操作と、同時に動かす同調操作とがある。より細かくはスキッディングターンとカービングターンに分類されるが、実際の滑走では両者の中間的なものが多く見られる。プルークターンと同じで外足荷重が基本である。筋力の強い人などは無理やりに板を揃えてターンしようとするが、本来のスキーは両スキーに正しく荷重してターンするものである。(たいてい無理やりに板を揃えて滑っている人は、両足を異様に狭めてたり、後傾姿勢などで滑っている。) まったくの初心者でも、正しい荷重の仕方などをすれば短時間で十分習得可能である。
ショートターン(ウェーデルン)
早いリズムで外スキーから次の外スキーまで踏み換えながら滑る技術。パラレルターンの小回り的といえるが、パラレルターンの小回りだけをウェーデルンというわけではなく、ボーゲンでも早いリズムでターンをしていればウェーデルンといえる。おもに上級者のターン技術。全日本スキー連盟では90年代後半に入り、教程から削除し、使用しなくなった。これはウェーデルンという言葉の意味がもともとドイツ語で「犬が尻尾を振る」という意味であるためで、この時期に登場したカービングスキーによってショートリズムでも丸いターン弧を刻むことができ、テールを押しずらしてターンを刻むという意味に合わなくなったためである。よって従来ロングターンをパラレルターン、ショートターンをウェーデルンとしていたのをそれぞれパラレルターン大回り、パラレルターン小回りと呼ぶようになった。しかし日本職業スキー教師協会(SIA)では独自の教程を設けており、現在でも使用している。また、テールを振る(反動を使った)ショートターンと弧を描くショートターンの2つが使えると、より実践的であらゆる斜面に対応できる。
ステップターン
ステッピングターンとも呼び、踏み出しと踏み蹴りの二つがある。
踏み蹴り
ターンの切り替え時に外スキーを踏み蹴って内スキー(次の外スキー)に乗り込んで行き、減速せずにターンすることができる。
踏み出し
切り替え時に内スキー(次の外スキー)を山側に踏み出し(重心は外スキーと内スキーの間)、乗り込んでスキーを押しずらしていく。スタンスを「ハの字」(プルーク)にして踏み出した場合を特にシュテムターンと呼ぶ。
前者の踏み蹴りはかつてアルペンレースでポールをクリアしていく時に多用されたが、サイドカーブのあるカービングスキーの普及により、踏み蹴らなくともエッジ角度を強めるだけでスキーが切れ上がるようになったため軌道を変える必要がなくなり、以前よりは使わなくなってきている。後者の踏み出しにおけるシュテムターンの場合は初級者が外スキーの踏み換えを覚える際やレベルに関わらず斜面状況が悪い場合に安全に滑り降りるための技術として多用される。
スキッディングターン
パラレルターンの一種であり、山スキーに踏みかえた後に、スキー板をずらして制動しながら回旋してから山まわりに移行することでターンする技術。ターンの外足がプルークターンやシュテムターンと近い動きをするため、パラレルターンの中では易しい技術であり、また安全を重視して滑る技術でもある。
カービングターン
パラレルターンの一種であり、ターン開始時に脚をターン内側に傾けて、意図的な加重や外力を利用した加重によってスキー板をたわませて曲面を作り、これを雪面に食い込ませることで足場を作ってターンする技術。スキッディングターンと異なり板の制動要素が少ないため、高速滑走が可能となる。パラレルターンの中では難しい技術であり、1990年ごろまではごく一部のスキーヤーのみの技術であったが、カービングスキーの登場により一般スキーヤーにも可能な技術となった。なお、カービングとは「彫る(CARVE)」の意味であって「曲がる(CURVE)」の意味ではない。実際に完全なカービングターンで滑ることができる状況は限られており、圧雪され、かつ大会バーンのように一般スキーヤーから隔離されて安全性が確保された状況のみである。通常はスキッディングターンを組み合わせて滑る場合が多い。
クローチング
高速滑走時にとる姿勢。主にアルペンレースの大回転以上の高速系で用いる。板は平行に肩幅かそれより若干広く開き、足首と膝を屈曲して腰を落とし、上半身は前に倒す。腕は軽く曲げた状態で前方に突き出し、手の平を上に向けてストックを握り、ストックは脇から身体に沿わせるように後方に出す。顔は前方を見る。直滑降か、脚を左右に傾けて行うクローチングターンと呼ばれる浅いターンが基本的な滑りとなる。
ジャンプターン
山岳スキーなどにおいて極端に狭い斜面などにおいてターンする際にジャンプして板を浮かしながら板の方向を変える技術。
キックターン
斜面で静止状態で方向転換するための技術。両方の板をフォールラインに対して垂直方向に揃えてエッジを立てて静止している状態から、谷足を爪先を上にするように持ち上げ、板のテールを前方に出す。その状態から板のトップを谷側を経由して後方に持っていき山側の板と逆方向で並行になるように着地させる。これによって、脚は極端な爪先開きの体勢となる一方、上体は谷を向く方向。次いで、山足を持ち上げて身体の捻れを解くように谷側に移動させて両方の板が並行になるように着地させる。これによって方向転換が完成する。
狭義の滑走技術ではないが、急斜面や狭い場所、スキーレッスンなどにおいて安全な方向転換のためには欠かせない技術で、初心者の段階から習得を求められるものである。
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階段登行・開脚登行
斜面を登るための技術。階段登行は、両方の板をフォールラインに対して垂直方向に揃えたまま、山足をさらに斜面の上へと、脚を上下させることで移動し、次いで谷足も同様に移動することを繰り返す。開脚登行は、斜面を上に見る方向で正面を向き、爪先を開いた状態で両方の板の内エッジを雪面に食い込ませることで足場を確保し、双方の足を交互に前方に出すことで登っていく。両方の技術が可能な場所では開脚登行のほうが大きく踏み出すことができるために効率的に登ることができるが、急斜面では開脚登行は安全に行うことが難しくなるため、階段登行のほうが有効な技術となる。
これもまた狭義の滑走技術ではないが、現実のゲレンデでは斜面の登り返しが必要となる場所もあり、また滑走中に転倒したり物を落としたりすれば止まって引き返す必要があるため、こうした技術は滑走を続けるためには必須で、初心者の段階から習得を求められるものである。
SAJ バッジテスト・SIA 技術検定
SAJ(全日本スキー連盟)、SIA(職業スキー連盟)はスキーヤーの技能レベルを客観的に判断する独自のスキーバッジテストや技術検定を設けている。
競技
山岳スキー技術として誕生したアルペンスキーは、次第に如何に速く斜面を滑り降りるかという競技に発展した。現在ではヨーロッパを中心に非常に人気の高い競技スポーツとなっており、特にオーストリア、スイスなどアルプスの国々では国技であり、勝者は国民的英雄である。
第4回冬季オリンピックから正式競技として採用されている。
概要
山を滑り降りる速さを競う競技であるが、コースには旗門と呼ばれる2本1組の旗またはポールが並べられ、その旗門を順番に通過しながら滑り降りる。旗門を通過できなかった場合は失格となる。種目によって、旗門数、旗門のインターバル、コース長、標高差が大きく変わってくる。
1回の滑走または2回の滑走の合計タイムで順位を競う。
種目
滑降 (Downhill)
スーパー大回転 (Super Giant Slalom, Super G)
大回転(Giant Slalom)
回転 (Slalom)
複合 (Combined)
滑降1本と回転2本の合計タイムを競う。
スーパー複合 (Super Combined)
2004-2005年シーズンのワールドカップからの新種目。滑降1本と回転1本の合計タイムを競う。
FISワールドカップでは、複合よりも主流になりつつある。